小児の足のケガについて
本日は、小児のケガについて大切なことを書いていきます。
~10歳程度までのこどもの足のケガについて、受傷後の初期の治療がその後の生活やスポーツ競技に影響を与えます。
まず、大人とこどもの足の骨を比べてみます。
上の写真が大人で、下が小児のものです。
左の大人の骨にはない成長線が右にはありますね。
字は小さいですが赤のラインを引いた部分が成長線です。
この成長線(骨端線)は他の周囲の組織、骨や靭帯に比べ弱い部分です。
また、このレントゲンの方はスポーツ中に足を強くひねりケガをされ、赤〇をつけているところで小さな骨折がみつかりました。
そのため、初期の固定にて治療をスタートし、 痛みが引いた時点で固定を外しました。
その後、数年経過し再度足をひねり受診された際にレントゲン画像がこちらです。
成長線の範囲が狭くなっており、徐々に大人の骨に近づいています。
ここで注目していただきたいのが、初診時に赤〇を付けていた場所。
最初は小さく、ほとんど見えにくかった骨折片が明らかに見えるようになっています。
これは上の画像のように小児ではレントゲンに映らない、「骨端軟骨」という軟骨成分が骨の成長と共にはっきり大きく映ってきている状態です。
この時点で骨は大きく離開しており、free body(遊離体)になっています。
この状態では足の関節の安定性が乏しくなっており、スポーツ競技やちょっとした日常生活で足のケガを繰り返してしまうケースが多いです。
そうした小児の骨折で、レントゲンではっきりしない場合にでも力を発揮するのが超音波診断装置(エコー)です。
以上のことから、スポーツをしている、まだしていないに関わらず、成長期の小児の足の骨折では初期のきちんとした治療がその後の生活に大きく影響してくるということです。
特にこどもは痛みが引くのが早く、骨の修復を待たずに活発に動いてしまう場合が多く、不安定性を生んでしまうリスクになります。
そのために、リスクをしっかりお伝えし、同意を得たうえで初期にきちんとした処置させていただきます。
近い将来、スポーツの現場で活躍する選手が生まれることを楽しみにしています。